現在価値に引き戻すためには割引率が必要だ。割引率は、金融の世界では広く知られる概念だが、不動産の割引率はどう求めるのか。証券化かわが国に普及する前夜に相当する2000年からの数年間、私はあちこちのDCF法の勉強会で必ずと言ってよいほどこの質問を受けた。一方、収益還元法を説いて回っていたころは、「キャップレートはどうやって入手するのか」という質問を多く受けたことを思い出す。割引率は人々の「要求」であるから、外部からデータとして観察することはできない。
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しかし、キャップレートは観察可能である。取引キャップレートと呼ばれるマーケットにおける成功事例から成立キャップレートを収集し、それらから平均的キャップレートが把握できる。割引率は、そうして得られたキャップレートと成長率gとの関係から導くことができる。成長率gとは、不動産マーケットにおける将来の期待成長率のことだ。